多嚢胞性卵巣の排卵障害・不妊症の漢方治療
多嚢胞性卵巣(PCO)とは、小さな嚢胞が両側の卵巣に多数出来て、排卵を阻害するものです。
脳下垂体から分泌されるFSHとLHというホルモンの量を測る事によって診断できます。
FSHは正常で、LHが高い場合は、この病気の可能性があります。
ただし、LHは正常の場合でも排卵の時だけは高い数値になりますから、排卵の時期以外に測定する必要があります。
正確に判断するには、LH−RHテストを行います。
これは、ゴナドトロピンリリースホルモンの注射をうって、一定時間ごとに採血して、LHとFSHの上がり方を調べるものです。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は、ホルモン負荷前からLHが高く、かつ負荷後LHの上がり方がFSHよりも急カープになります。
また、超音波では「ネックレスサイン」といって、排卵しない卵胞が多数並んでいる状態があります。
「ネックレスサイン」は多嚢胞性卵巣以外でも見られる事がありますから、ホルモンの数値と併せて考える事が大切です。
多嚢胞性卵巣は、あまり知られていない病気ですが、実はかなり多い病気です。
多嚢胞性卵巣の場合、男性ホルモンの分泌が多くなる事があります。
ただし、日本人の場合は多くならない事が多いようです。
男性ホルモンが多いばあいは、にきび、多毛などの症状がでます。
実際、私のお店の場合、多毛があるのは5人に1人程度で、あまり多くありません。
西洋医学では、多嚢胞性卵巣自体の治療は、あまり良い方法がありません。
しかし、排卵誘発剤などを使って排卵をおこし、妊娠に導く事は出来ます。
また、症状が酷い場合は卵巣に穴をあける手術なども行われています。
ただ、この手術であけた穴も、半年くらいでふさがってしまう事が多いので、完全な治療法ではありません。
漢方的に多嚢胞性卵巣は、痰湿(よごれた水、脂、繊維)とか淤血(よごれた血液)といった体内のよごれが卵巣のまわりにこびりついておこると考えられます。
このため、痰湿や淤血をとりのぞいて卵巣の殻を柔らかくして、自然に排卵させるようにします。
この方法は、多嚢胞性卵巣を根本的に治療するとても良い方法ですが、治療にはすこし時間がかかります。
痰湿や淤血を取り除くお薬も沢山あり、どのようなお薬が良いかは、個人個人の体質をよく考えて選ぶ必要があります。
また、痰湿や淤血がたまった原因も考えていく必要があります。
主なタイプとしては次の4つがあります。
1.痰湿淤血・肺熱型
2.痰湿淤血・脾虚型
3.痰湿淤血・腎陽虚型
4.痰湿淤血・腎精不足型
このうち1−3のタイプは、卵巣の汚れを綺麗にしていけば、比較的妊娠しやすいタイプです。
どのくらいで排卵するかは個人差があります。
早い人ですと、1ヶ月以内に排卵する事もあります。
平均的には3−6ヶ月で排卵し始めます。
排卵し始めても、始めのうちは不規則な排卵になります。
不規則な排卵でも、妊娠は可能です。
漢方薬で排卵させた場合は、クロミッドなどで排卵させたより妊娠しやすいように思いますが、統計的なデータをとった訳ではありませんから、はっきりとは分かりません。
多嚢胞性卵巣は、排卵誘発剤でのコントロールがなかなか難しいです。
とういのは、量が少なければ排卵しないし、量が多すぎると沢山の卵胞が出来てしまうからです。
車で例えると、多嚢胞性卵巣は、エンジン(卵巣)や運転手(視床下部)、アクセル(脳下垂体)などには問題が少ない状態です。
簡単に言うと「サイドブレーキ」が引かれている状態と思って下さい。
このような状態でアクセル(排卵誘発剤)を踏み込んでも車は動きません。
仕方がないので、もっと強く踏み込むと車は急発進してしまいます。
サイドブレーキがかかったままでは、車はぎくしゃくして、安定して走る事は出来ません。
サイドブレーキが強くかかっていると、アクセルを踏んでも車は動きません(排卵誘発剤を大量に使っても排卵しません)
サイドブレーキがごく軽くかかっているときは、多少走りにくい程度です(遅れながらも自然排卵します)
このように一口に多嚢胞性卵巣といっても程度の差があります。
もし、強くサイドブレーキがかかっているなら、アクセルを踏み込むよりも先にサイドブレーキをゆるめてあげる事が大切です。
多嚢胞性卵巣は、インスリンと関係があります。
インスリンが多く分泌されると、排卵しにくくなります。
インスリンが多くならないように、普段から繊維の多いものを食べる、GI値の低いものを食べる、おやつには甘い物を食べないなど、血糖をコントロールする事も大切です。
GI値については、ここを参考にして下さい。
主な食べ物のGI値一覧
漢方の杏村では、この多数の方が相談されています。
ぜひ一度、漢方薬をおためしください。
多嚢胞性卵巣について、もっと詳しく知りたい場合は、このページをご覧下さい。